■護星軍団(スターレギオン)
スターレギオンはジュリアン保護領の軍事機関です。その任務は、第三帝国を始めとする外部の脅威や、内部の好戦主義国から保護領を守ることです。
団員は当然保護領内から採用されます。スターレギオンは建前上中立のため、団員は入団の際に出身国の市民権を放棄することが求められます。これは祖国の敵として任務を遂行しなければならない際に、団員の立場を守るためでもあります。
最初のスターレギオンはメンデレス社によって結成されたため、当初は伝統的な軍隊のような指揮系統や階級制度はありませんでした。代わりにあったのは、様々な傭兵部隊や星系海軍や海賊団を継ぎ接ぎしたような奇妙なものでした。最終的にメンデレスの軍事顧問が整理をして、今のような既存の軍隊とは全く違う階級制度が完成しました。
スターレギオンはその下に「海軍(Navy)」「海兵隊(Marine)」「遠護局(Far Guard)」の3軍を置いています。
●レギオン海軍
軍団の予算の大部分は、恒星間国家の軍隊として恥ずかしくないように海軍に回されています。海軍は、戦艦から護衛艦までジャンプ可能艦による「主力艦隊」、戦闘機や小艇による「飛行隊」、バトルライダーやテンダーによる「地方隊」から成っています。
主力艦隊や飛行隊はスターレギオンの打撃力を担い、通商破壊任務にも就きます。
地方隊はしばしば比較対象となる帝国海軍と最も異なる部分で、保護領の加盟国はレギオン海軍に一定数のバトルライダーを供出する義務があります。ライダー艦は平時は自国を守るために配備されますが、有事の際には海軍所属のテンダー艦によって保護領全体で戦略的再配置を行えるよう規定されています。このことからライダー艦には海軍の艦艇で唯一、保護領と加盟国の両方を合わせた紋章が描かれています。
レギオン海軍では、配属された艦船の規模によって「狼群(Wolfpack)」「艦隊(Fleet)」「艦隊群(Horde)」と呼び分けています。
●レギオン海兵隊
海兵隊は海兵科、支援車両科、重砲科の3科から成りますが、レギオン海兵隊には特筆すべき2つの精鋭部隊があります。バトルドレスで装備した「重装突襲撃展開分隊(HARDS)」と、水中作戦や隠密行動や爆破解体に長けた「地下専科孔入爆破分隊(SQuIDS)」です。双方とも、海兵科部隊では危険過ぎると判断されるような作戦を得意とします。例えば、HARDSは海軍艦艇が敵地でも給油や修復を行えるよう事前に軌道宇宙港を占拠しますし、SQuIDSは防衛用の海中中間子砲を無力化して軌道上の味方艦の脅威を取り除きます。
●レギオン遠護局
遠護局は〈帝国〉の偵察局や情報部に該当する部隊で、その下には斥候部、情報部、監査部の3部門があります。斥候部は国境哨戒や兵力調査を担当し、早期警戒の役割を担っています。情報部は諜報、防諜、テロ対策を保護領全体規模で行い、時には加盟国の同様組織ともやり合います。監査部はレギオン全体の法務や人事経理を担当し、加えて独立監査官として加盟国の軍事力の透明化を担保しています。
■ジュリアンの紋章
メンデレス社は「円の中にトロイの兜」を社章として採用しています。これは「メンデレス」の語源が、古代都市イリオス(トロイ)近辺を流れる「マイアンドロス(Maiandros)川」であることが由来です(※余談として、同社初の宇宙船「ミアンダー(曲流)」の語源も同じです)。
ジュリアン保護領成立後、スターレギオンは「三角形の中にトロイの兜」を団章としていましたが、1118年にアンタレスが加盟したことを記念して「3つの逆三角形に囲まれたトロイの兜」に変更されました。
なお、加盟国所属のテンダー艦には3つの逆三角形の中にそれぞれの国の象徴が描かれています(アシミキギル所属の艦はトロイの兜です)。そのためアンタレス海軍の艦艇には、(住民の強い要望により)帝国の日輪(Imperial sunburst)が描かれていました。
ちなみにアンタレス離脱後は、アンタレス海軍は元々の領域章である「並列する3つの三角形」に戻しましたが、ジュリアン側の紋章に変化はありませんでした。
(※結局、ジュリアン保護領の国章が何なのかは不明確です。歴史的経緯からトロイの兜ではありそうなのですが…?)
■アシミキギルでの生活
帝国人は「2種族の共同社会」と聞いても、何かしらの障壁があるものと考えがちですが、少なくともアシミキギルにはそういったものは全くありません。人類とヴァルグルは相互に同じ文化を共有し、その周辺星系でも親密な共有文化が形成されています。端的に言えば、この地域では人類とヴァルグルはお互いを「好き合っている」のです。
この両種族は本来同じ星に起源を持つため、親近感を持つのは不思議ではないかもしれません。実際、人類は他の異星人ほどにはヴァルグルを異質には思わない傾向があり、理解や付き合いが容易になっています。489年に帝国政府が行ったテラへの遣星使では、どの知的種族よりもヴァルグルがテラ市民に熱烈に歓迎されたという一例もあります。
アシミキギル社会では、人類もヴァルグルも、男性も女性も全て平等でですが、社会はそれぞれの違いにも十分対応できています。そして同種族間の伴侶の絆、家族の絆、友情の絆といったものに加えて、〈帝国〉にはない異種族同士の絆が存在します。
ジュリアン市民はどちらの種族でも、別種族との特別な絆を「連愛(つれあい/パネット)」と表現します。これは「連れ(comPANion)」と「愛玩(pET)」を合わせた造語で、帝国人に説明する際には「ペットへの情愛」によく例えられます。ただし両者の間には一定の敬意があり、どちらが「主人」かどうかという見方はしません。言い換えれば、お互いがお互いを家族や恋人に等しいペットと見ているとも言えます。
パネット関係にある二人は当然親密になることが多く、ジュリアン市民以外には受け入れがたい光景が公共の場であっても普通に見られます。例えば、人類が飼い犬に対して行うようにパネットとじゃれあったり、頬を舐め回しあったりするのです。また、社交行事で〈帝国〉社会で友人や配偶者の同伴を求めるように、アシミキギルではパネットの同伴を求められることもあります。そしてパネットは個人間に限らず、長年の家族ぐるみのパネットが形成されることもあります。
■メンデレス社
第N次恒星間戦争(-2235年~-2219年)の頃、ソロマニ人商人のメンデレス家はメンダン・メインに沿って成功した交易路を確立しました。その後皇帝ヒロシ2世が権力を握ると、他のソロマニ企業家と同じようにメンデレス家はアシミキギルの総督に任命されました。
その後、メンデレス家はアシミキギル全体を覆う「企業王朝」を築き、暗黒時代での経済・技術の衰退を巧みに乗り切りました。メンデレス家は決して独占を追い求めたわけではないのですが、他者では対処できないような様々な危機に対して一番貢献できたのが結果的にメンデレスだったのです。これは-247年に宇宙に進出した際にも見られ、メンデレスはクドゥカラ運輸の独占を崩すために手段を尽くしましたが、優勢が得られたと見るやクドゥカラへの追撃を止めました。
シレアとヴィラニ企業の連携は、メンデレス経済圏への最も好ましくない敵手となりました。平定作戦(76年~120年)の際には貿易戦争が繰り広げられ、最終的にメンデレス社はリシュン、アンタレス、エンプティ・クォーターの各宙域の市場を手放さざるを得ませんでした。それ以来、メンデレス社はヴァルグル諸国に残された市場と交易路を大切に守ってきました。
メンデレス社が成功したのは、帝国企業と違ってヴァルグルの経済を熟知していたからです。メンデレス社は可能な限りヴァルグル企業に投資を行います。なぜならヴァルグル諸国の人類企業は帝国企業の進出口となり得る上に、安定しすぎていて周辺のヴァルグル企業を駆逐しかねず、それは結果的にメンデレス社の利益にはならないのです。
メンデレス社は常に営利を求めており、社会的な施作もあくまでより有利な商環境を整えるために行っています。それでもメンデレス社がジュリアン社会に与えた影響は多大で、ほとんどのジュリアン市民は同社を人類とヴァルグルの友好関係を促進する先駆者と見ています。
例えば、同社は何世紀にも渡って様々な運動競技を後援し、公共放送で広めていますが、これらは全て人類とヴァルグルの混成チームで行われ、両種族の長所短所を補完できるように意図的に規則が設計されているのです。
同様に、社内組織も両種族の長所を活かせるように調整がされています。
メンデレス社には以下の事業部が存在します。
- 輸送通信事業部:
- 社の恒星間貨物船団を運営し、営業圏内での星間通信サービスを提供しています。
- 宇宙機器事業部:
- 軍艦から宇宙服まで、宇宙に関わるあらゆる製品を製造しています。ヴァルグル諸国では宇宙船丸々一隻ではなく搭載機関や交換部品を主に販売しています。
- 情報事業部:
- ヴァルグル諸国で偶然に頼らず活動するためには、優れた情報収集活動が必須です。加えてこの事業部は〈帝国〉の競合企業を監視し、必要に応じて秘密工作や産業スパイ活動を行います。
- 兵器事業部:
- 拳銃から惑星防衛システムまで、あらゆる兵器を製造しています。これらの製品はヴァルグル市場で高い競争力を持っており、特に磁気銃器や質量投射砲(mass drivers)が優れています。
- 重機械事業部:
- フュージョン削岩機、大型発電所、都市交通システムなどを製造しています。
- 電子機器事業部:
- 電子製品やコンピュータに関連するあらゆるものを製造しています。ヴァルグルの技術革新をどこよりも丁寧に研究し、優れたものを取り入れています。
- 資源開発事業部:
- メンデレス社のほとんどの子会社がこの事業部に属しています。ここは何世紀にも渡って農地や鉱山、加工工場に投資してきました。現在はアーズル宙域に注力しています。
- 帝国事業部:
- 1085年に設立された最も新しい事業部で、〈帝国〉領内の事業を管轄しています。
■〈帝国〉との関係
帝国内戦(604年~622年)以降、ジュリアン市民が第三帝国からの侵略を恐れる理由はほとんどありません。しかし保護領では未だに、〈帝国〉が自分たちの理想にとって常に脅威であると考えられています。これは、ジュリアン市民が保守的なヴィラニ哲学の影響を色濃く受けているからです。このゆっくりとした変化を好む傾向はヴァルグル諸国との交流でも大きな強みになっていますし、保護領内のヴァルグル市民の気まぐれな性格を相殺し、補完する役割も果たしています。また、メンデレス社が市民に〈帝国〉への疑念を抱かせるような世論誘導を行っているのも事実です。〈帝国〉をヴァルグル市場から締め出すことは長い間メンデレス社の利益になっており、反帝国感情が高まれば同社にとって有利に働くのです。
〈帝国〉からヴァルグル諸国を守るために、メンデレス社はヴァルグル市場で帝国クレジットを切り下げ、ジュリアン通貨のスターを普及させることに努めています(※1保護領スター≒1帝国クレジット)。また顧客に対しても、〈帝国〉の規格ではなくジュリアンの規格を採用することを勧めています。保護領では暦や単位系からコンピュータの仕様に至るまで、古のヴィラニ帝国のものを意図的に採用していますが、そうすることで〈帝国〉の商品とは互換性がなくなり、それが貿易障壁として機能するのです。
しかし〈帝国〉とはそうであっても、ジュリアン市民は昔からアンタレスには「同じ起源」ゆえに親近感を抱いていました。内戦前のアンタレス大公位はジュリアン市民にとって宿敵とも言えるディアディン家が務めていましたが、内戦後にグラズドン・ディアディン(Glazdon Deirdin)大公が、アルベラトラの意を受けたヴァルグルの腹心ソウグズ提督に粛清され、大公位を取って代わられてからは良好な関係が築けています。残念なことに第四次辺境戦争(1082年~1084年)まで歴代のヴァルグル大公には両者の関係を積極的に改善する権限がありませんでしたが、戦後、ストレフォン皇帝が領域大公の権限を拡大する勅令を出すと、早速メンデレス社にアンタレス領域内での営業認可を与えるなどしています。
■保護領での冒険について
ここは多くの点で〈帝国〉に似ており「異質」と考える必要はありませんが、最も重要な特徴はヴァルグルの存在です。2つの種族が混じり合うことで生じる複雑な問題がありますが、人類とヴァルグルの距離感は星系ごとに異なります。
種族問題:
冒険に役立つ主題として、種族間の憎悪と調和の対立があります。この地域では人類とヴァルグルの関係は改善されつつありますが、その歩みは遅いです。ガシカンの略奪に始まる一連の悲劇の恨みは完全には消えていません。ヴァルグル社会の多くは依然として人類を憎んでおり、一部の人類は未だに種族間の争いを助長する古い思想を掲げています。バンメシュカやズウガビシュの資本家はヴァルグルから収奪して人類を富ませており、ガシカンが仕掛ける策謀は最も陰湿で冒険の悪役として最適です。
〈帝国〉への偏見:
プレイヤー・キャラクターが〈帝国〉出身であれば、保護領では有形無形の困難に遭遇することでしょう。多くのジュリアン市民は帝国人には冷たく接し、しばしば非協力的です。ただでさえ困難な状況をより悪化させるようなこともしかねません。
もちろん、アンタレス市民は例外です。アンタレス発行の旅券や登録証を持つ旅行者は、単に近隣の国から来たというだけの扱いを受けます。ジュリアン市民が皆ブルズク大公に好意的ということもなく、むしろ反発してる人も少なくありません。しかしブルズクやアンタレスを〈帝国〉とも考えておらず、少なくともアンタレス出身者は〈帝国〉に向けられる偏見を受けることはありません。
ただしブルズクをめぐる保護領内の論争は、それ自体が冒険の種となる可能性があります。旅人はアンタレス市民だというだけで強制的に政治に巻き込まれるかもしれませんし、アンタレス同盟の諜報組織トラシロン(Trasilon)の工作員に「なる/雇われる」キャンペーンもありえます。この場合の保護領内での活動目的は、保護領とアンタレスの距離を縮め、大公の影響力を高めることになります。
保護領内での貿易と企業:
(反乱前の)〈帝国〉の貿易商人は、統一された恒星間政府と複数の巨大企業という環境で商売をしていました。しかし保護領は、多数の恒星間政府と一社独占の巨大企業という全く逆の環境となります。保護領内には星域規模企業すらほとんどないですし、それ以前に統治領自体がメンデレス社と言っても過言ではありません。一方で、加盟国はそれぞれ自前の宇宙港を(保護領の指導を受けながら)管理していますし、法律どころか社会の仕組みすらまちまちです。
したがって星間企業が雇い主となることは〈帝国〉よりは珍しいでしょうが、代わりに星間政治が冒険の基盤となります。現代地球の国家と同じように加盟国はそれぞれ貿易を行い、資源を奪い合い、事件を口実に戦争を警告し、自国の威信を高めます。旅人はそんな政治状況に翻弄されることになるでしょう。
【ライブラリ・データ】
アンタレス家 House Antares
622年にアンタレス大公に就任したソウグズから続くヴァルグルの一族のことです。ヴァルグルは基本「姓」を持たないため、便宜上こう呼ばれます。現在の大公は、1100年に就任した10代目となるブルズクです。ちなみに意外に思われるかもしれませんが、帝国の今の大公家の中では2番目に古くから続いている家系です。
アンタレス家の特徴として、長子継承ではなく、ヴァルグルらしく子の中から最も優秀な者が指名されて後継者となることが挙げられます。また、一夫一婦制を採用はしていますが、生涯仲睦まじく添い遂げることまでは流石に期待されていません。
(※1番古いのはヴランド大公のタウリビ家で76年から、他はアルカリコイ家のシレア大公兼務が629年、ソル大公のアデアー家が1003年から、ゲイトウェイ大公のミノモル家が1076年から、イレリシュ大公のイレシアン家が1104年からです。そして御存知の通り、デネブ大公は589年の設置当初から空位が続いています)
遣星使 Alien Missions
382年から行われた、帝国と周辺国の間の外交的・文化的交流を深めるために派遣された使節団、及び様々な関連事業のことです。ユージン・スウカル大使(Ambassador Eugene Suukar)の助言の下、皇帝マーティン3世は偵察局にアスランを学ぶための使節団を送るよう命じました。ヤク・バーロダ卿(Sir Yaku Barroda)の指揮の下、使節団はクーシュー(ダーク・ネビュラ宙域 1919)に382年に到着しました。
颯爽とした性格のバーロダ卿は現地でどこに行ってもアスランから尊敬を集めました。その後彼はゾディア氏族のイェレァ(Yelea)という人類の妻を娶り、ウイクトオコー氏族に与えられた土地に定住することを決めました。バーロダ卿は429年に「戦士として」死を迎えましたが、現在でもバーロダ卿夫妻の功績はアスランと帝国人の間で語り継がれています。
(※この設定は本来は「アスラン使節団(Aslan Mission)」だったはずなのですが、見間違えたのか拡大解釈されたのかヴァルグルにも適用されたようです。確かにありえなくもないため、独自に表現を擦り合わせています)
(※ゾディア氏族こと「ゾディア入植地(Zodia Colonies)」は、アスラン領内にある人類の入植地です。アスランが宇宙に乗り出すより先に地球人はイウォファーハ宙域の各地に入植していましたが、やがてアスランの拡大で吸収されていきました。そして、入植者の中でも日系人はアスラン文化と親和性が高かったため、最終的にゾディア全体の長となりました。現在、ゾディア氏族はトローヱァエァウィ氏族の配下として繁栄しています)
摂政 Regent
ジュリアン保護領内で頻繁に使われる政治の最高指導者の称号のことです。アシミキギルでは、第二帝国首都ハブ/エルシュルからの新総督任命書を待つ間の政治指導者を指す言葉でしたが、第二帝国崩壊後、「摂政」は政界の頂点にいる者として扱われるようになりました。諸説ありますが、偉大なるヒロシ1世が生涯あくまで摂政であることを貫いた故事に由来したとも、もはや新総督はやってこないからとも言われています。
現在のジュリアン保護領の摂政は、1112年に選出されたガーリン・デイドライエ・カアリシュウ(Garin Deidrie Kaarishuu)です。カアリシュウ家はアンタレス平定作戦の際に〈帝国〉から逃れてきた一族であり、その後メンデレス家と婚姻関係を結んでいます。彼女は政治指導者としては(良くも悪くも)自己主張を控え、配下の意見に耳を傾けています。
ディアディン大公家 Archduke Deirdin Family
ディアディン家は、帝国暦97年にアンタレス平定作戦の開始で設置された「アンタレス領域」の大公として採り立てられました(※領域の正式設置は110年という設定もあります)。その任務は大公領である自領、つまりアンタレス宙域とリシュン宙域を第三帝国領として編入することで、ディアディン大公はそれを114年までに完了させました。
それに続いたジュリアン戦争でも、ディアディン大公家はアンタレス領域の残された部分であるメシャン宙域とメンダン宙域、つまり旧第二帝国領を回復させるべく先頭に立ちましたが、これは現地の激しい抵抗に遭って頓挫しました。そしてディアディン家は代々、622年に反逆罪で大公位を失うまでアンタレス領域を統治していました。
テツス=デネ(TD)等級 Tetusu-Dene Scale
ヴァルグルが人類社会にどう溶け込んでいるかを解りやすく数値化したもので、スピンワード・マーチ宙域で開発されました。数値は1(積極的な排斥)から9(完全な融和)に0(接触なし)を加えた10段階で、更にジュリアン保護領では末尾にどちらの種族が主流派かを意味するHもしくはVを付加するよう改良されました。
ミカシルカ圏 Mikashirka sphere
現在のアンタレス近郊に位置するこれらの星系は、第一帝国時代の-8150年頃からナアシルカ局が探査・採掘を始めていて、このことからミカシルカ圏は第一帝国時代を通じてナアシルカの「飛び地」のままでした。
しかし本格的にこの地が発展するのは、第二帝国時代にソロマニ系企業スコーピオン社と旧三部局のシャルルシドが共同で行った大規模入植事業以降です。
メンダン・メイン Mendan main
リシュン、アンタレス、メンダン、アムドゥカン、トレンチャン、ガシカンの各宙域をジャンプ-1で行き来可能な、総計1037星系にも及ぶ巨大星団のことです。古くは第一帝国首都ヴランドと最辺境の資源星団圏を結ぶ重要な輸送路「ヌダシイル・ラガニ」として機能し、現在でも主要交易路として数多くの宇宙船が往来しています。「リシュン~ガシカン・メイン」とも呼ばれます。

【参考文献】
・Challenge #49 (Game Designers' Workshop)
・Rebellion Sourcebook (Game Designers' Workshop)
・Hard Times (Game Designers' Workshop)
・Vilani & Vargr (Digest Group Publications)
・Solomani & Aslan (Digest Group Publications)
・Travellers' Digest #18 (Digest Group Publications)
・GURPS Traveller: Alien Races 4 (Steve Jackson Games)
・GURPS Traveller: Humaniti (Steve Jackson Games)
・GURPS Traveller: Nobles (Steve Jackson Games)
・Julian Protectorate (Angus McDonald)