宇宙の歩き方

The Astrogators' Guide to the Charted Space.

『Cepheus Engine』で始めるロールプレイング・ゲーム入門(3)

 今回はキャラクターが得ていくであろう技能について解説していきます。
 前回にも書いた通り、作成時に選択技能(Cascade Skills)を引き当てた際には即座にその技能集団に属する技能1つに絞り込んで確定させないとなりません。ここでは「→選択(…」と書かれている技能がそれで、括弧内の技能がその選択技能に属する技能となります。
 なお、技能は大まかに3つに分類はされていますが、そこまで意味があるようには思いません(大汗)。


■基本技能(Basic Skills)
管理 Admin
 この技能の持ち主は官僚機構というものがどういったものかを学んでいて、その対処法に通じています。官僚との「対話」や、書類作業などに用いられます。また、仕事上の部下を文字通り「管理」する際にも使えます。
(※官僚官僚と言っていますが、企業社会も一種の官僚機構です)

法律 Advocate
 恒星間社会で共通的な各種法規に通じています。各星系や地方独特の法律までは把握できません(※レフリーの判断で高めの難易度で判定させるぐらいはいいと思います)。

動物 Animals
→選択(牧畜、騎乗、生存、獣医学)
 動物に関する様々な技量を身につけています。〈生存(Survival)〉だけは特殊で、自然環境の中で生き残るために、獣を罠を使って狩り、新鮮な水を確保し、火を起こし、危険な生態系を回避するための技能です。
(※Traveller SRDと比べて、動物を飼い慣らす〈調教〉が削除されました。判定の内容に応じて〈牧畜〉や〈騎乗〉で判定するといいでしょう)

運動 Athletics
 身体を使って活動する際に用いられます。登山や曲芸や投擲、長距離走や重量挙げがこの技能の範疇です。また、翼を持つ異星種族が飛行する際にもこの技能による判定が必要となります。

バトルドレス Battle Dress
 戦場の花形、先端技術で作られた強化装甲服「バトルドレス」を着るための技能です。また、強化外骨格(exoskeletons)と呼ばれる機械類の操縦技能もこれです。

贈賄 Bribery
 法律などを回避するために、金品を相手に贈ることで事態の好転を図る技能です。実際に相手に賄賂を贈る際に判定する他に、相手がどれ程度の金品を求めているかを推し量るのにも使えます。

ブローカー Broker
 商品の価値を正確に把握し、買い手や売り手を手際良く見つけるための技能です。

社交 Carousing
 社交界など、酒席での作法や話術に通じています(※転じて、上流階級の人相手に交渉事をする際に用いる技能と解釈してもいいでしょう)。

通信機 Comms
 通信機や探知機といった電波を発する機械の操作や補修に通じています。また、暗号通信の発信元の解析や、ロボットの遠隔操縦などもこの技能です。ただし「携帯電話で仲間と連絡を取る」ぐらいなら無技能でも可能です。

コンピュータ Computer
 コンピュータの操作、プログラミングなどに通じています。0レベルもあればデータの検索やメッセージの送受信ぐらいは判定無しで行えますが、レベルが高くなればネットワークに侵入して秘匿データを盗み見ることも(判定次第で)可能となります。

爆破工作 Demolitions
 爆発物の作成、設置、解体などの技術を身につけています。

電子技術 Electronics
 電子装置の設置、運用、細工、保全修理などに通じています。

エンジニアリング Engineering
 宇宙船の通常ドライブ、ジャンプドライブ、パワープラントの操作、補修に通じています。宇宙船に機関士(Engineer)として勤務するには必須の技能です。

賭博 Gambling
 運が絡む賭け事遊びの「勝ち方」を知っています。決して「一か八かの攻撃」のようなことで有利に働くことはありません(※ですから和訳を〈ギャンブル〉から〈賭博〉に変えました)。また、イカサマ賭博を見抜く際にも使えるでしょう。

反重力技術 Gravitics
 反重力を発生させる機器の設置、運用、補修などに通じています。

万能 Jack-of-All-Trades
 あらゆる物事を聞きかじっている「器用貧乏(Jack-of-All-Trades)」さを表します。他の技能とは異なり、この〈万能〉技能は無技能行動のペナルティであるDM-3をレベル分だけ軽減させるため「のみ」に用いられます(そこまで取れる可能性は低いとはいえ、仮に4レベル取ったとしても軽減されるDMが3しかないので無駄になります。つまり〈万能-3〉の持ち主はあらゆる技能を0レベルで持っているのと同じですが、それ以上の存在には決してなれないのです)。

リーダー Leadership
 この技能の持ち主は集団を統率し、行動を促し、士気を鼓舞する術を知っています。
 集団が一つの目標に向かって共同であたっている際に、指導者は〈リーダー〉の判定を行い、目標値8との差が正の数ならそれと同じ「ポイント」を得ます。集団の構成員は判定の際にそのポイントを取り崩してプラスDMとして得ることができます(※得られるDMは判定に使用する技能レベルまで、等の制限は必要かと思います)。また、〈リーダー〉判定によって戦闘時に他者の行動順を一時的に引き上げることができます。

言語学 Linguistics
 母語以外の言語に通じています。〈言語学-0〉のキャラクターは大抵の言語で挨拶や簡単な会話が出来ることを意味します。
(※つまりこの技能は他言語を「広く浅く」知っていると解釈すべきでしょう。ゲーム的にはその方が便利かもしれませんが、一つの言語を選択して「狭く深く」習熟するハウスルールを設けてもいいでしょう)

接触 Liaison
 この技能を持つキャラクターは、様々な社会階層や異文化などに溶け込み、適切な応答や振る舞いができるように訓練されています。
(※『Cepheus Engine』では相手の態度を和らげる技能として捉えられている感じを受けます。従来通りの「初対面の相手と対話する」ための技能として使えるかどうかはレフリーの判断次第です)

機械技術 Mechanics
 機械類の設置、運用、細工、保全修理などに通じています。
(※機械式の錠前を開ける技能もこれになったようです)

医学 Medicine
 医療に関する正しい知識を身につけ、適切な訓練を受けています。応急手当てから長期入院まで、負傷や病気に対する治療法を見つけ、指示することができます。宇宙船に船医(Medic)として勤務するには必須の技能です。
(※個人的には単なる応急手当てまで〈医学〉技能を求めるのは大袈裟過ぎると思います。応急手当てに関してのみ〈生存〉での代用を認めてもいいのではないでしょうか)

航法 Navigation
 この技能の持ち主は、通常の宇宙空間やジャンプ空間で目的地に正しく宇宙船を導く訓練を受けています。宇宙船のジャンプ計画(Jump Plot)を立てるのに必要であり、航法士(Navigator)として勤務するには必須の技能です(ただし技能を持つパイロットが兼任したり、ソフトウェアで代行させる場合があります)。
(※海洋を航行する際に使えるかどうかは『Cepheus Engine』では出来ない雰囲気です。〈船舶〉系の技能で判定すればいいでしょう)

パイロット Piloting
 惑星間および恒星間宇宙船の操縦訓練を受けています(小艇、救命艇、宇宙船、大型艦の区別はありません)。宇宙船に操縦士(Pilot)として勤務するには必須の技能です。

偵察 Recon
 敵を先に発見し、逆に敵からは見つからない訓練を受けています。また、危険もしくは有用な地形の察知もできます。
(※Traveller SRDと比べて隠密行動に関する技能が削除されたため、この〈偵察〉で代用すると思われます)

科学 Science
→選択(生命科学、自然科学、社会科学、宇宙科学)
 それぞれ特定の科学知識に通じています。各技能の適用範囲は以下の学問です。
 〈生命科学〉:生化学、生物学、植物学、サイバー科学、遺伝子工学、生理学、超能力学
 〈自然科学〉:化学、電子工学、地質学、物理学
 〈社会科学〉:考古学、経済学、歴史学、哲学、心理学、知的生命学
 〈宇宙科学〉:天文学、宇宙論、惑星学、異星環境学

スチュワード Steward
 貴族/富裕層の者や、特等船客に対する接客給仕の訓練を受けています。家事・炊事といったものから、執事や秘書に求められるような技術も全て内包しています。宇宙船に接客係(Steward)として勤務するには必須の技能です(他にホテルマンや、メイドとして勤めるのにも使えるでしょう)。省力化が進んだ宇宙船ではロボット化されていがちな職種ではありますが、一人いるだけで少なくとも乗組員の食生活が豊かになるのは間違いありません。

交渉 Streetwise
 この技能の持ち主は都市というものの構造と本質を熟知しており、その中で生き抜く術を知っています。どこに行けば情報を得られるか、どうすれば見知らぬ相手を怒らせずに話を進められるか、どういった者が限りなく非合法に近い物品を取り扱っているのかを把握しているのです。
(※このように、本来は〈街頭の知恵〉であって〈交渉〉と訳すには不的確なのですが、技能の使い道と、言葉としての通りの良さを考慮してあえて意訳どころではない訳を採用しています)

戦術 Tactics
 戦闘を有利に、効率的に進める手腕を持っています。小は分隊規模(のボードゲーム)の地上戦から、大は宇宙戦艦が何十隻も参加するような大会戦まで、全てこの技能で扱います。〈戦術〉技能があると、戦闘の際に敵方より先手を取れる可能性が上がります。
(※Traveller SRDでは地上戦と宇宙戦で分けられていた技能が統合された影響で、適用範囲が非常に広くなっています。技能の持ち主の出身部門や設定で適用範囲を絞るといいかもしれません)

無重力環境 Zero-G
 無重力や微重力、自由落下中の状況で平衡感覚を失わずに行動ができます。〈無重力環境〉の適用対象となる環境では、一時的に技能レベルはその者が持つ〈無重力環境〉技能レベル以下に制限されます(〈ピストル-2〉を持っていても〈無重力環境-1〉なら〈ピストル-1〉となりますが、〈生得武器-0〉が1レベルになるわけではありません)。また、宇宙服(Vacc Suit)や戦闘アーマー(Combat Armor)を素早く的確に着装するためにもこの技能が使われます。
(※宇宙服を着用するには必須の技能扱いとなっていますが、「着させてもらう」なら別に無技能でもいいんじゃないかと思います)
(※無重力状態で制限される技能は、戦闘や運動系は当然として、修理系や対話系技能まで含めていいかは状況次第だと思います。手元が狂ったり、適切な作法が出来ないと判断できれば制限してしまっていいでしょう)



■武器技能(Weapon Skills)
射撃戦闘 Gun Combat
→選択(弓術、エネルギー・ピストル、エネルギー・ライフル、散弾銃、ピストル、ライフル)
 それぞれの武器カテゴリに属する射撃武器に習熟します(投擲は〈運動〉扱いです)。弓術は言うまでもなく弓矢、エネルギーと付く武器は光線(Laser)、それ以外は弾薬で攻撃する射撃武器です。ただし、それぞれの武器がどの技能に属するかは今ひとつ不明確です(特に短機関銃(Submachinegun)が〈ピストル〉なのか〈ライフル〉なのか…? 個人戦闘を解説する回までの宿題にしておきます)

砲術 Gunnery
→選択(砲門、重火器、防護幕、主砲、砲塔)
 この選択技能では基本的に地面や車両、宇宙船に固定されて発砲する「砲」を取り扱いますが、個人がかろうじて携行できる重火器もこの下に置かれています。〈重火器〉はロケットランチャーやプラズマガンから車載砲まで、〈砲門〉は宇宙船のレーザーやミサイルといった砲、〈主砲〉は戦艦などに搭載される粒子加速砲など大火力の砲、〈砲塔〉は対宇宙戦闘機用の銃架砲塔が範囲です。〈防護幕〉は宇宙船の防御兵装を扱います。〈砲門〉や〈砲塔〉技能は宇宙船の砲手(Gunner)として勤務するには必須ですが、活躍できるかはシナリオ次第です(基本的に、一般市民の生活とは掛け離れた〈砲術〉系技能は持て余す可能性が高いです)。

白兵戦 Melee Combat
→選択(殴打武器、生得武器、刺突武器、斬撃武器)
 それぞれの武器カテゴリに属する接近戦用武器に習熟します。〈生得武器〉とは、生命体が元々備えている物で戦うことで、人類なら拳や蹴りなどの格闘術、爪や牙を持つ生命体ならそれが該当します。


■操縦技能(Transport Skills)
輸送機器 Vehicle
→選択(以下に書かれた技能は全てこの〈輸送機器〉技能の選択の対象です)。
 〈輸送機器〉に属する技能では、操縦だけでなく日常的な点検整備も行えます(修理は〈機械技術〉や〈反重力技術〉で行います)。

航空機 Aircraft
→選択(反重力車両、回転翼機、固定翼機)

反重力車両 Grav Vehicle
 エアラフトなど、反重力によって浮力を得る輸送機器を操縦する技能です(例外として、反重力ベルトは〈無重力環境〉で操ります)。

回転翼機 Rotor Aircraft
 ヘリコプターやホバークラフトといった、翼を回転させて浮力を得る輸送機器を操縦する技能です。

固定翼機 Winged Aircraft
 一般的な「飛行機」という単語でイメージされる、固定された翼で浮力を得る輸送機器を操縦する技能です。

採掘機 Mole
 地面の下をドリルやプラズマで掘りながら進む輸送機器を操縦する技能です。

大型車両 Tracked Vehicle
 トラックから戦車まで、大型の車輪型機器を運転する技能です。

船舶 Watercraft
→選択(小型船、外航船、帆船、潜水艦)
(※オールで漕ぐようなボートを操る技能が抜け落ちている気がします)

小型船 Motorboats
 近海や河川を航行する小型船舶を操る技能です(※英語表記が示すように「モーターのある」船舶が対象のようです)。

外航船 Ocean Ships
 大洋を渡るような大型船舶を操る技能です。

帆船 Sailing Ships
 帆を張って、風力によって航行する船舶を操る技能です。

潜水艦 Submarine
 水面下を航行する船舶を操る技能です。

小型車両 Wheeled Vehicle
 地上車や二輪バイクなど、小型の車輪型機器を運転する技能です。


 次に、これらの技能でどのように判定(Skill Checks)するかを解説していきます。
 『Cepheus Engine』における判定は、簡潔に言えば「あらゆるDMを加味して2Dで8+を出すか、そうでないか」で決まります。8以上なら成功、8未満なら失敗で、8から6差(つまり14以上か2以下)でそれぞれ頭に「例外的(Exceptional)」と付く成功/失敗となります。

 判定には書式(Task Description Format)が定まっており、例として以下のように書かれます。
 

目的の情報を得るには:〈コンピュータ〉、知力、1D分、並(±0)。


 まず「判定の目的」が書かれ、コロンの後ろにはこの判定に使えるDMなどが羅列されます。まず要求される技能を1つ、次に能力値DMが1つ、完了にかかる時間、最後に判定の難易度修正が記載されます。ただしこの書式、公式ルール内でもかなりいい加減に運用されており、「難易度易で〈パイロット〉の判定」ぐらいにしか書かれていないことの方が多いです。また、必ずしも技能と能力値が対になって運用されているとは限らず(技能だけ、能力値だけは結構ある)、その辺をきっちりやるか雑に扱うかはレフリーの裁量次第です。

 言うまでもなく、指定された技能レベルはそのままプラスのDMとなります(1レベルなら+1)。もしその技能を持っていない場合はDM-3が課せられます(前述した通り〈万能〉技能はこのマイナスDMをレベル分軽減します)。よって、0レベルでも技能があればかなり成功率に影響することがわかりますね。
 能力値DMもそのままDMとして使われるため、このゲームにおいて能力値5以下のキャラクターは「1~2レベル技能を帳消しにしてしまう」というかなり重いハンデを背負っていることになります。なお、無技能行動でも特に明記がないので能力値DMは加算するようです。

 続いて「時間」の項目ですが、この判定による行動でどれくらい時間がかかったかが決定されます。判定書式では以下の時間単位があります。

 1D秒
 1Dラウンド(※ラウンドは個人戦闘で使われる単位で、1ラウンド=6秒)
 1D分
 1Dキロ秒(※キロ秒は宇宙戦闘で使われる単位)
 1D時間
 1D日
 1D週(1週=7日)
 1D月(1月=30~31日)
 1D四半期(1四半期=3ヶ月)

 基本的には判定の後で1Dを振って単位を加える(「1D分」で3が出たなら「3分」)のですが、判定を「急いでやる」「慎重にやる」ことでこの時間単位が上下します。時間単位を1個遅らせるごとにDM+1、時間単位を1個早めるごとにDM-1となります。
(※マングース版『トラベラー』から時間単位の並びが一新されたのはともかく、1回の判定で何週間もかけられても困ります。時間を厳密に管理しないといけないような局面以外では、この荒削りな判定時間ルールは無視すべきです)

 判定の難易度ですが、レフリーが定めた難しさにより判定のサイコロが以下のように修正されます(※あえて「正確な訳」にはしていません)。

 朝飯前(Simple):+6
 簡易(Easy):+4
 (Routine):+2
 (Average):±0
 (Difficult):-2
 至難(Very Difficult):-4
 不可能(Formidable):-6

 他にも「複数のことをまとめてやろうとするとDM-2」とか「いい工具を使っていたらDM+1」とか「星系の治安レベルに応じて難易度が上下する」など細々したルールは一応ありますが、杓子定規に適用せずにレフリーの裁定の範疇で処理していいでしょう。
 ただ問題なのは、「判定は成功するまで繰り返していい」と書いてあることです。これは「ネットで情報を探す」ような「いつかは成功するので、それにかかる時間の方が重要」のような判定に適用すべきです(もちろん「〈運動〉判定に失敗したら穴に落ちる」ような局面では一発勝負であるべきです)。また、キャラクターが途中で諦めてしまうかどうかの判定をハウスルールで設けるような工夫も必要かと思います。。

 ちなみに他のゲームのように、判定で2が出たら自動失敗、12が出たら自動成功ということはありませんので、DM合計が+6に達すれば成功は確約されますし、-5なら絶対に失敗します(「例外的」となるかが関係するような判定ならサイコロは振るでしょうけど)。

 ここで考えて欲しいのは、そもそも成功が8+ということは成功率は半々ではなく失敗する可能性の方が高いのです。技能や能力値から修正をもらうにしても「並の人」にはDM+2を得るのが関の山でしょう。となると難易度並ならまだしも、難以上になると成功率は一気に下がってしまいます。ですから上手いロールプレイで有利な状況を作り、なるべく簡単な難易度をレフリーから引き出すのが求められるプレイテクニックとなります。一段階難易度を下げさせるだけでDM+2なのですから。


 さて、キャラクターに関する説明は(異種族キャラクター作成ルールを割愛したものの)一通り終わりましたが、実際の運用について少し。
 キャラクターが基本的に運命という名の運によって制作される以上、これから行うシナリオ/キャンペーンに適したキャラクターかどうかは別問題となってしまいます。例えば「とある僻地に放置された宇宙船を回収してきてくれたら、それ、あげるよ」という太っ腹な定番シナリオをやるとして、そもそも誰も宇宙船を動かせなかったら何の意味もないのです。
 この問題を回避する手段としては、いくつか考えられます。

  • 作成段階で「これからどういう話をやるか」をプレイヤーに意識付け、経歴部門や技能の選択に影響を与える。
  • 事前に各プレイヤーに5~6人ずつキャラクターを作って来てもらい、必要な技能を持ったキャラクターをそこから選抜してプレイを始める(1つも合わなかったら他プレイヤーから借りる(笑))。
  • レフリーが用意したプレロールドキャラクター、もしくはテンプレートの中から選択してもらう(一番楽)。
  • 必要な技能をレフリーから配布する(Traveller SRDではこの方式)。
  • 出来上がったキャラクターに合わせて、日を改めてレフリーがシナリオを組んで来る(かつてはこれが一般的だった)。
  • NPCを同行させて足りない技能を補う(これもかつては多用されたが、プレイヤーがNPCに依存する/こき使うのは避けるべき。「居てくれないと困るが活躍はしない」ぐらいのバランス感覚が求められる)。


 キャラクター作成システム自体を変える、という身も蓋もない手段もありますがそれはともかくとして、レフリーはプレイの進行が滞らないようにキャラクターの所有技能には常に注意を払ってください。また、プレイヤー同士でも役割(見せ場)があまり被らないように調整しあってください。楽しめない人がいたら、それは勝敗のないRPGの中でも唯一の「負け」ですから。

 あと、『Cepheus Engine』では戦闘系技能はさほど生死を分けませんが(結局は敵の数と腕と多少の運次第なので)、対話系技能は物事の成否どころか生死を分けることがありえます。上流階層には〈社交〉、都市の中~下流階層には〈交渉〉、官僚に書類で挑むなら〈管理〉、初対面の相手には〈接触〉、他者に命令するなら〈リーダー〉、値切るなら〈ブローカー〉、裏金で解決するなら〈贈賄〉…と、適切な技能で相手に対するのは、未来社会を生き抜くために非常に重要であることを忘れないでください。何でも武力で解決するのは、いい歳した大人には似合いません(笑)。


 次回はたぶん個人戦闘の解説…になる予定です。あえて後回しにして冒険の基本舞台となる「星系」について語るかもしれませんが。